この手の話は、ネットだと“OK/NG”が雑に語られがちです。
でも実際は、資産運用(OK寄り)と、自営兼業(承認が必要)、有報酬兼業(許可が必要)の線引きで見た方がブレません。
国家公務員の人事院Q&Aでは、不動産賃貸・太陽光電気の販売は「国公法103条(自営兼業)」側として明示されています。一方、株式は「単なる資産運用なら兼業規制に抵触しない」と整理されています。
この記事では、何がどっち側に寄るのかを、資産別に整理します。
✅ まず結論:公務員の“資産運用”はOK寄りでも、形が「事業」になると一気に承認・許可寄り
- 不動産賃貸:自営兼業(承認)が絡みやすい。規模で線が引かれる。
- 太陽光:自営兼業(承認)が絡みやすい。
- 株:単なる資産運用ならOK寄り。ただし内規・倫理法の報告など注意。
- 投資信託:基本は株と同様に資産運用寄り(※最終は所属内規)。
- FX:取引そのものは資産運用寄りに見えるが、やり方次第で「事業」や「勤務支障」論点が出やすい。
※兼業の可否は、所属の内規・職務内容・任命権者の判断で変わります。必ず人事へ確認してください。
✅ 不動産賃貸:ここは“承認が必要になりやすい代表”
人事院Q&Aでは、「自らが所有する不動産を賃貸する場合」が、国公法103条に基づく承認が必要な類型として挙げられています。
ポイント①:小規模なら申請不要のケースがある
人事院ハンドブックでは、転勤等に伴い空き家となる自宅の賃貸について、当該建物のみなど小規模なら申請不要、ただし他の賃貸と合算して一定規模以上なら申請・承認が必要、と整理しています。
ポイント②:規模が大きいと「申請・承認」へ
同ハンドブックでは、自営に該当する基準(例:棟・室数、土地、駐車台数、賃貸料収入など)を示し、一定規模以上だと承認が必要になります。
ポイント③:実務で見られやすいのは「自分が運営の責任者か」
管理や入居者対応を自分で回し続けるほど、“事業の外形”が強く見られやすいです。逆に言えば、公務に支障が出ない運営形を説明できることが重要です(最終は人事判断)。
✅ 太陽光電気の販売:不動産と同じく“承認が必要になりやすい”
人事院Q&Aでは、「太陽光電気の販売を行う場合」が、国公法103条(自営兼業)側の承認が必要な類型として挙げられています。
さらに人事院の「自営兼業制度の見直し」資料では、不動産賃貸・太陽光電気の販売の“申請・承認が必要な範囲”も時代の変化に即して見直すとされています(制度が“旬”の部分)。
参考(公式):
人事院|一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集) /
人事院|自営兼業制度の見直しについて
✅ 株式:単なる資産運用ならOK寄り(ただし“内規・報告”に注意)
人事院ハンドブックは、単に資産運用の一環として株式を所有・売買することは兼業規制に抵触しないと明記しています。
ただし同じ箇所で、
- 省庁によっては、インサイダー取引防止等の観点から内規で株取引等を制限している場合がある
- 一定職位以上では倫理法に基づく株取引等の報告が必要な場合がある
とも注意されています。
つまり結論はこうです。「株=OK」ではなく「株=資産運用はOK寄り、ただし職務と内規の壁がある」です。
参考(公式):
人事院|義務違反防止ハンドブック(照会例9)
✅ 投資信託:基本は株と同じ“資産運用寄り”として整理するのが安全
人事院資料では「投資信託」という単語での明示は見つかりませんでしたが、一般に投資信託は株式投資と同じく資産運用の手段です。
なのでこの記事では、「投資信託=株と同様に資産運用寄り。ただし所属内規(特に利害関係・情報管理)に注意」として扱います。
※最終判断は所属内規と人事確認。職務に関係する銘柄・金融商品は特に慎重に。
✅ FX:取引そのものは資産運用寄りでも、“やり方”で一気に危なくなる
FXも人事院資料で明示されてはいませんが、取引自体は資産運用の一種として整理されがちです。
ただし、FXは次の理由で公務員にとっては「線が動きやすい」と思っています。
- 継続性・営利性:毎日張り付く運用は、生活・勤務への支障が論点になりやすい
- 対価の発生:もし「教える」「配信する」「シグナルを売る」「コミュニティで有料提供する」まで行くと、有報酬兼業(許可)の話に寄る
- 信用・公正:職務との利害関係や疑念を招く形は避けるべき
つまり、FXは「やる/やらない」ではなく、“事業の外形を作らない”ことが重要です。
✅ 迷ったら、このチェックで決める(申請・相談の判断軸)
- それは資産運用?それとも自分が運営責任者の事業?
- 反復継続している?(毎月・毎週・毎日)
- 報酬は労務や成果の対価?
- 職務と特別な利害関係が出ない?
- 兼業で疲労・時間不足が出ない?
このどれかが濃いなら、僕なら先に人事へ相談します。
内部リンク(次に読む)
編集後記
僕はこの回で一番言いたかったのは、「投資だからOK」みたいな雑な結論は危ない、ということです。
不動産と太陽光は、国の資料でも最初から“承認が必要になりやすい類型”として置かれている。一方で株は資産運用としてOK寄り。でも、内規や職務との距離で話が変わる。
だからこのシリーズは、OK/NGを断言するためじゃなく、「どこから制度の対象になるか」を先に見える化するために書いています。
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※公務員の方は副業に制限がある場合があります。始める前に所属先の規程・許可要件を確認してください。
免責(大事なので短く)
本記事は一般的な情報提供で、個別案件の法的助言ではありません。兼業の可否は、所属先の規程・内規、職務内容、任命権者の判断で変わります。必ず所属先の人事・服務担当へ確認してください。



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