ここは、ネットの断言が一番あてになりません。
なぜなら処分は、副業の種類だけで決まらず、期間・頻度・隠し方・勤務への影響・説明の仕方まで含めて“総合判断”されるからです。
この回では、国家・地方の公式資料にある「標準例」「量定要素」を土台に、処分が重くなるグラデーションを整理します。
✅ まず結論:処分は「4段階」+その手前の“注意”がある
公務員の懲戒処分は、基本的に次の4種類です。
- 戒告(最も軽い)
- 減給
- 停職
- 免職(最も重い)
そして、懲戒ではないけれど、各府省の内規で行われる訓告・厳重注意など「手前の注意」もあります(※これは国公法に基づく懲戒ではない)。
※処分は“将来の昇任・手当”等にも影響します。本文後半で触れます。
✅ 「重くなるかどうか」は、まずこの7項目で決まる
処分の重さ(量定)は、任命権者が、
- 動機
- 態様(やり方)
- 結果(影響)
- 職責(役職・立場)
- 処分歴
- 他の職員・社会への影響
- (自治体では)非違行為後の対応、示談等
などを総合して判断すると整理されています。
だから同じ「無許可副業」でも、“短期・小規模・止めて是正”と、“長期・高頻度・隠蔽・虚偽説明”では、見え方が全然違います。
✅ グラデーション①(軽め):訓告・厳重注意(※懲戒ではない)
まず「処分の手前」があります。
国の資料でも、訓告・厳重注意などは、国公法に基づく懲戒処分ではなく、指導・監督上の措置として行われると説明されています。
つまり、軽い段階で“是正”に落ちることもゼロではありません。
✅ グラデーション②:戒告(“やらかし”として記録が残る)
戒告は、懲戒の中では一番軽いです。
ただし「なかったこと」ではなく、人事記録に残り、影響が出る処分です。
戒告寄りになりやすい空気(あくまで一般論)
- 期間が短い・頻度が低い
- 収益も小さく、勤務支障や利害関係がない
- 虚偽の説明をしていない
- すぐ停止し、税務や手続の是正に動いている
ただし、ここは「軽い=セーフ」ではありません。あくまで“グラデーションの下側”です。
✅ グラデーション③:減給(“手続のけ怠”や“虚偽報告”が刺さる)
ここから「目に見える制裁」になります。
国家公務員の標準例:無許可で兼業した(手続を怠った)
人事院の「懲戒処分の指針」では、
兼業の承認(103条)や許可(104条)を得る手続を怠り、兼業を行った職員は「減給又は戒告」とされています。
ついでに重くなる火種:虚偽報告
同じ指針では、事実をねつ造して虚偽の報告をした職員も「減給又は戒告」と整理されています。
つまり、無許可そのものに加えて、“嘘で固める”と別の非違が乗ってくるのが怖いところです。
✅ グラデーション④:停職(自治体では「営利企業等従事」で停職が出る幅がある)
停職は、一定期間勤務させず、給与も支給されません(国の整理)。
地方公務員は自治体ごとに「標準例」を持っていることが多いのですが、横浜市の標準例では、
任命権者の許可なく営利企業等に従事した職員は「停職、減給又は戒告」とされています。
この「停職もあり得る幅」が、地方側の現実です。
停職寄りに傾きやすい典型(一般的な見方)
- 長期・高頻度(反復継続が濃い)
- 勤務に支障(遅刻・疲労・事故・欠勤など)が出た
- 注意されても継続した/再発した
- 職場・市民の信頼に影響が出た(炎上・報道・通報が大きい等)
ポイントはここで、副業の“中身”より「継続性」「勤務影響」「その後の対応」が刺さりやすいです。
✅ グラデーション⑤:免職(“副業そのもの”より、セットの重大非違で跳ねやすい)
免職は最重です。
ここまで跳ねるのは、単に「無許可で副業した」だけでなく、
- 職務上の地位を利用した利益供与(利害関係)
- 公金・官物の不正、収賄など重大な非違
- 重大な隠蔽、社会的影響が極めて大きいケース
など、別の重大要素が絡む場合が多いです。
※このあたりはケース差が大きいので、記事内では“断言”しません。判断要素(量定要素)を押さえるのが大事です。
✅ 「標準例」は絶対じゃない(ここが現実)
人事院の指針は、代表的事例の標準例を示すもので、
- 標準例に載っていない行為でも懲戒処分の対象になり得る
- 標準例に載っていても、具体事情で上下に動く
と整理されています。
横浜市の標準例でも同様に、「日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮」「標準例以外となることもあり得る」と書かれています。
✅ じゃあ、現実の“分かれ道”はどこ?(僕の整理)
僕の整理では、分かれ道はここです。
- 反復継続(回していたか)
- 勤務支障(疲労・遅刻・事故など)が出たか
- 虚偽説明・隠蔽があったか
- 利害関係(職務と副業が近い)
- 発覚後の対応(止めた/是正した/自主申告した)
副業の名前より、この5つの方が処分の重さに直結しやすいです。
内部リンク(次に読む)
編集後記
僕はこのテーマを「どれくらい罰が重いか」より、どこで重くなるかが大事だと思っています。
処分は、無許可の一点より、継続性・勤務影響・虚偽説明・利害関係・発覚後対応のセットで上がる。
だから次の回(#11)では、国家と地方で“見られ方”がどこまで違うのか、整理していきます。
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※公務員の方は副業に制限がある場合があります。始める前に所属先の規程・許可要件を確認してください。
免責(大事なので短く)
本記事は一般的な情報提供で、個別案件の法的助言ではありません。懲戒処分の種類・量定は、所属先の規程、職務内容、事実関係、任命権者の判断で変わります。必ず所属先の人事・服務担当へ確認してください。



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