この疑問、かなり大事です。
結論から言うと、根っこの考え方はかなり似ています。
でも、どの法律で、誰が、どんな基準で許可するかのところで違いが出ます。
そしてその違いが、現場ではかなり効いてきます。
この記事では、「共通点」→「違い」→「実務で気をつける順番」で整理します。
✅ まず結論:ルールの中身は似ている。でも国家は“統一”、地方は“自治体差”が大きい
国家公務員も地方公務員も、ざっくり言えば次の3つを制限しています。
- 営利企業の役員になること
- 自分で営利事業を営むこと
- 報酬を得て他の事業や事務に従事すること
ただし、構造は違います。
国家公務員
- 103条で「役員兼業・自営兼業」
- 104条で「有報酬兼業」
地方公務員
- 地方公務員法38条に、役員・自営・有報酬従事がまとめて入る
- そのうえで、任命権者の許可と、人事委員会規則や自治体ルールで運用される
つまり、
- 国家=制度の骨組みが比較的そろっている
- 地方=法の骨組みは同じでも、運用の幅が自治体ごとに出やすい
ということです。
✅ 共通点①:見られる本体は「役員」「自営」「有報酬」
国家公務員では、人事院の資料がかなりはっきりしています。
103条で制限されるのは、営利企業の役員兼業と自営兼業。
104条で制限されるのは、103条以外のあらゆる有報酬兼業です。
地方公務員も、地公法38条の考え方として、
- 役員に就くこと
- 自ら営利企業を営むこと
- 報酬を得て事業や事務に従事すること
を、任命権者の許可なくしてはならないと整理されています。
つまり、国家も地方も、「副業」という曖昧な言葉ではなく、この3分類で見ているという点は共通です。
✅ 共通点②:許可の判断軸はほぼ同じ
国家公務員のQ&Aでは、一定の基準として、
- 官職と兼業の間に特別な利害関係がないこと
- 職務の公正な執行に支障がないこと
- 兼業時間数等に関する基準があること
が示されています。
地方公務員でも、自治体の許可基準では、
- 職務遂行に支障を及ぼすおそれがある場合
- 勤務機関と密接な関係にあって不当な結果を生ずるおそれがある場合
- 全体の奉仕者たる公務員として適当でないと認められる場合
などは許可できないとされています。
言い換えると、国家も地方も、最後は
- 利害関係
- 勤務支障
- 公務の信用
で見ています。
✅ 違い①:国家は“全国一律の説明書”が強い
国家公務員は、人事院と内閣人事局のQ&Aがかなり整っています。
たとえば、
- 不動産賃貸
- 太陽光販売
- 家業継承
- NPOや自治会
- アフィリエイト
- 物販
- 制作物収入
まで、かなり具体例ベースで整理されています。
つまり国家側は、「国のQ&Aを基準にして、そのうえで所属府省の内規を見る」という読み方がしやすいです。
必要に応じて、所属組織の人事担当部局に相談し、内規の有無と内容を確認する流れになります。
✅ 違い②:地方は“同じ38条でも自治体差”が出る
地方公務員法38条は全国共通ですが、運用はかなり自治体差があります。
たとえば自治体によっては、38条の許可基準をかなり細かく文書化していますし、短時間勤務の職員や会計年度任用職員について、38条の制限は課されないが、信用失墜・公務の公正・勤務支障の観点から届出や確認が必要としている場合もあります。
さらに近年は、地方側でも兼業の取扱いを拡充する動きがあります。
つまり地方では、同じ38条でも、
- 保守的な自治体
- 条件付きで広げている自治体
の差が現実にあります。
僕はここが、国家との一番大きな違いだと思っています。
- 国家は“統一ルール+府省内規”
- 地方は“共通条文+自治体運用差”
✅ 違い③:2026年の見直しは、いまのところ国家の方がはっきり動いている
国家公務員は、2026年4月1日施行で、自営兼業制度の見直しが入ります。
新たに、
- 職員の有する知識・技能をいかした事業
- 社会貢献に資する事業
を承認可能とする見直しです。
これはかなり大きいです。
これまで国家公務員の自営兼業は、不動産・太陽光・家業継承など、資産運用的・財産権調整的なものが中心でした。そこに、知識・技能型や社会貢献型が新たに入りました。
一方、地方公務員法38条そのものに、同じ全国一律の改正が入ったわけではありません。
ただし地方は、自治体単位で実質的な拡張運用が起きています。
つまり、
- 国家は全国一律に制度改正が見えやすい
- 地方は自治体ごとの“先行事例”が増える
という流れです。
✅ 違い④:非常勤・短時間勤務職員の扱いにも差がある
国家公務員のQ&Aでは、非常勤職員は国公法103条・104条の兼業規制の適用が除外されると整理されています。
地方公務員法38条も、非常勤職員の扱いには例外があります。
ただし、地方ではここも自治体運用が細かいです。自治体によっては、38条の制限は課されないとしつつも、
- 信用失墜行為
- 公務の公正
- 勤務支障
- 利害関係
- 健康状態
- 報酬額
まで確認する届出運用を示しています。
つまり、「非常勤だから完全自由」ではなく、服務や信用の観点は残るという点は、国家・地方ともに押さえておいた方が安全です。
✅ 実務ではどう見るべきか
僕なら、国家か地方かで、考える順番をこう分けます。
国家公務員なら
- 103条か104条かをまず切る
- 人事院Q&Aで近い事例を探す
- 所属府省の内規を確認する
- 人事担当部局へ相談する
地方公務員なら
- 38条に当たるかをまず見る
- 所属自治体の許可基準・通知・Q&Aを探す
- 任命権者や人事委員会ルールを確認する
- 自治体の人事・服務担当へ相談する
この違いを雑にすると、国家の人が地方のブログ記事を読んで誤解したり、地方の人が国家のQ&Aだけ見て安心してしまったりします。ここは本当に注意です。
✅ この回の結論
国家公務員と地方公務員は、禁止される中身そのものはかなり似ています。
でも、
- 国家は 103条/104条で分かれ、全国一律の整理が強い
- 地方は 38条にまとまり、自治体ごとの運用差が大きい
この違いがあります。
だから僕は、
「国家か地方か」→「どの条文か」→「所属先の運用はどうか」
の順で見るべきだと思っています。
内部リンク(次に読む)
編集後記
僕はこの回を書いていて、「公務員副業」という言葉が大きすぎると改めて思いました。
国家と地方をひとまとめにすると、必ずどこかでズレます。
でも逆に、この違いを一度ちゃんと整理しておくと、シリーズ全体の見通しが一気によくなります。
このシリーズの制度記事は、ここでかなり骨組みが揃いました。
次からは、コラム3本で「制度の話をどう受け止めるか」に入る流れがきれいです。
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※公務員の方は副業に制限がある場合があります。始める前に所属先の規程・許可要件を確認してください。
免責(大事なので短く)
本記事は一般的な情報提供で、個別案件の法的助言ではありません。兼業の可否は、所属先の規程・内規、職務内容、任命権者や人事担当の判断で変わります。必ず所属先の人事・服務担当へ確認してください。



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