ここが一番知りたいところだと思います。
ただ、このテーマは「これなら絶対OK」「これは100%NG」と一刀両断しにくいです。実際には、副業の内容、継続性、報酬の性質、職務との関係、公務への支障まで含めて判断されます。
だからこの回では、条文をなぞるよりも、典型例で整理します。
僕の見立てでは、ポイントはシンプルです。公務とぶつかりにくく、管理や責任の中心に入らず、職務への支障が出にくいものは許可寄り。逆に、継続して稼ぐ労働や、商売の中心に立つものは不許可寄りです。
✅ まず結論:許可が出やすいのは「限定的・管理可能・公務と切れている」もの
国家公務員のQ&Aでは、一定の基準を満たせば、不動産賃貸、太陽光電気の販売、家業継承、大学教員、非営利団体での兼業などが可能な例として挙げられています。
逆に、営利企業の役員、自分で回す事業、継続的に報酬を得る仕事は、かなり慎重に見られます。
しかも、許可が出る側でも、特別な利害関係がないこと、職務遂行に支障がないこと、公務の公正性や信頼性を損なわないことが前提です。
✅ 許可が出やすいパターン①:小規模な不動産賃貸・空き家賃貸
これは代表的な「許可寄り」の例です。
国家公務員のQ&Aでは、自分が所有する不動産を賃貸すること自体は可能と整理されています。しかも、小規模な賃貸なら申請不要、一定規模以上なら承認が必要という線引きまで示されています。
たとえば、独立家屋5棟以上、アパート10室以上、土地10件以上、賃貸料収入年額500万円以上などのラインに入ると、大規模賃貸として申請・承認が必要になります。
さらに、転勤等で空き家になった自宅を貸す場合は、基本的に申請不要とされています。ただし、他の賃貸と合算して大規模になる場合は別です。
つまり、“生活上発生した資産の活用”は比較的許可が出やすい側です。
✅ 許可が出やすいパターン②:太陽光・農業・家業継承のような“限定された自営”
国家公務員のQ&Aでは、太陽光電気の販売や、遺贈等による家業継承が、103条に基づく承認が必要な例として明示されています。
地方公務員側の基準でも、太陽光の販売(一定規模以上)、農業・牧畜・果樹栽培・養鶏等は、自営に当たり得る典型例として整理されています。ただし、自家用の飯米や野菜を作る程度なら、自営には当たらないとされています。
ここでのポイントは、ゼロから商売を拡大する話ではなく、既にある資産や生活基盤の管理・承継に近いかです。
また、国家公務員では自営兼業制度の見直しとして、職員の知識・技能をいかした自営兼業や、社会貢献に資する自営兼業の承認基準を新設する方向も示されています。
参考:
人事院|一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)
岡山県|職員の営利企業への従事等の制限について
人事院|自営兼業制度の見直しについて
✅ 許可が出やすいパターン③:大学教員・非営利団体・自治会などの公益寄りの兼業
国家公務員のQ&Aでは、104条に基づく許可が必要なものとして、大学の教員との兼業や、非営利団体(社会福祉法人、特定非営利活動法人、自治会・町内会等)での兼業が挙げられています。
地方公務員側の基準でも、NPO法人や公益法人などは、それ自体は「営利企業」には当たらない整理です。ただし、その団体から報酬を受けて活動に従事する場合は、別途「報酬を得て事業又は事務に従事すること」として許可が必要になります。
ここは誤解しやすいですが、“NPOだから何でも自由”ではありません。 公益性が高くても、報酬があり、継続的に関わるなら許可の話になります。
✅ 許可がいらない・問題になりにくいパターン:株・単発収入・身の回りの売却
「副業」と一括りにされるけれど、実は兼業規制に当たりにくいものもあります。
- 株式の所有・売買:単に資産運用の一環として行うなら、兼業規制には抵触しない
- 自分の制作物の単発的な売却・出版:単発なら兼業に該当しない
- 自分がたまたま所有している物の売却:メルカリ等でたまに売る程度なら兼業に当たりにくい
ただし、ここにも条件があります。株は省庁の内規やインサイダー取引防止の観点で制限されることがありますし、制作物や物販も、定期的に制作・販売する、多数の商品を仕入れて繰り返し売るようになると、兼業に当たる可能性があります。
つまり、“たまに”ならOK寄りでも、“回し始めた瞬間に色が変わる”ということです。
✅ 許可が出にくいパターン①:会社役員・理事・実質経営者
ここは、かなり厳しいです。
地方公務員の基準では、営利企業の役員等とは、取締役、執行役、監査役、理事、支配人、顧問、参与など、業務の執行・監査について責任を有する地位まで広く含むと整理されています。
つまり、名義だけの役員でも危険です。報酬が少ないとか、実働が少ないとかより、まず「その地位に就いているか」が見られます。
僕はここは、逃げ道を探すよりも、“入らない”のが正解だと思っています。
✅ 許可が出にくいパターン②:配達・夜バイト・継続的な労働型副業
これは、殿が気にしていたところでもあります。
国家公務員法104条の世界では、報酬を得て、定期的または継続的に従事する兼業は許可対象です。しかも許可基準では、勤務時間と重複しないこと、心身の著しい疲労で職務遂行上その能率に悪影響を与えないこと、原則として週8時間以下・1か月30時間以下・平日3時間以下などの目安があります。
この基準で見ると、配達、副業バイト、夜間の継続労働はかなり不利です。なぜなら、収入のために継続して働くタイプで、疲労や事故リスクも論点に入りやすいからです。
不可能とまでは言い切れませんが、“許可が出にくい側の典型”として見ておいた方が安全です。
✅ 許可が出にくいパターン③:仕入れて回す物販・継続受注の制作業・本気運営のアフィリエイト
ここは、見た目では軽く見えやすいけど、実は危ないです。
人事院のQ&Aでは、
- アフィリエイト収入を得ることだけなら、基本的にそれだけでは兼業ではない
- でも、営利目的、投稿の継続性・反復性、規模によっては承認または許可が必要な兼業に当たり得る
と整理されています。
また、ネットでの物販も、着なくなった服を売る程度なら兼業に当たらない一方で、多数の商品を購入し、定期的に出品するようになると兼業に当たり得ます。
制作物も同じで、単発の売却や出版はOK寄りでも、依頼を受けて定期的に制作し、報酬を継続受領するようになると、一気に兼業寄りです。
つまり、「ネットだから軽い」のではなく、「運営の外形が事業になっていないか」が見られるわけです。
✅ 許可が出るかどうかを分ける、最後の3条件
ここまで読んで、結局何が一番大事かというと、最後はこの3つです。
- 職務との利害関係がないこと
- 職務遂行に支障がないこと
- 公務の公正性・信頼性を損なわないこと
岡山県の許可基準でも、この考え方がかなりはっきり書かれています。
だから、同じ副業でも、内容だけでなく、あなたの部署・権限・勤務実態で判断が変わり得ます。
僕はここを、「案件の種類」よりも大事なポイントだと思っています。
✅ この回の結論
許可が出やすいのは、「資産の管理」「家業や生活事情の延長」「公益性が高く、管理可能な兼業」です。
逆に、継続的に働いて稼ぐ副業、商売の中心に立つ副業、役員就任、反復継続のあるネット事業は、許可が出にくい側に寄ります。
だから僕は、「副業の名前」で判断するより、“自分が商売の責任者になっていないか”“継続的な労働収入になっていないか”“公務とぶつからないか”で見る方が正確だと思っています。
内部リンク(次に読む)
編集後記
僕はこの回を書いていて、いちばん大事なのは「できるか」より「どの形なら通るか」だと思いました。
同じ“不動産”でも規模で変わる。同じ“ブログ”でも、広告を貼るだけと、本気で回す運営では全然違う。同じ“NPO”でも、無報酬の関わり方と、継続して報酬を得る関わり方では線が変わります。
だからこのシリーズでは、「副業名」ではなく、事業の外形・責任・継続性・公務との距離で切っていきます。次は #8 と #9 で、ジャンル別にさらに細かく分けます。
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※公務員の方は副業に制限がある場合があります。始める前に所属先の規程・許可要件を確認してください。
免責(大事なので短く)
本記事は一般的な情報提供で、個別案件の法的助言ではありません。兼業の可否や許可の見込みは、所属先の規程、官職、職務内容、勤務状況、任命権者や人事担当の判断で変わります。必ず所属先の人事・服務担当へ確認してください。



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